2021年12月24日に掲載されたTendermint社のCosmos blog記事の和訳です。
来年にリリースされる新機能やエアドロップについて簡潔にまとめられていますので概要として抑えておきたいと思います。
※当該和訳は、英文を翻訳したものですので、和訳はあくまでも便宜的なものとして利用し、適宜、英文の原文を参照していただくようお願いします。
2022年、コスモスにもたらせるものとは?
今年も素晴らしい1年を過ごすことができました。
多くの大きなマイルストーンを達成しコスモスのエコシステム全体が、爆発的なイノベーションを起こしました。
2021年はinterstellar year(星間の年≒それぞれ異なるチェーンを星にたとえているのでしょう)でした。
しかし、IBCの立ち上げやCosmosホワイトペーパーの完成で、私たちの物語は終わりではありません。
2022年に向けて、多くのエキサイティングな計画が進行中であり、すでに多くの開発が進行中で、この素晴らしい旅の始まりに過ぎません。そのハイライトをご覧ください。
Cosmos Hubはこれからも成長し続ける
2022年のCosmos Hubには多くの新機能が搭載され、少なくとも四半期に一度はメジャーバージョンアップが予定されています。
技術的な詳細やアップグレードの仕様については、GitHubにあるCosmos Hub Roadmap 2.0をご覧ください。
Cosmos Hub 2.0の概要については、以下にまとめますのでご覧ください。
そして、なぜそれがあなたにとって重要なのか(もおわかりいただけると思います。)
Interchain Security
Interchain Securityは現在、Interchain FoundationとInformal Systemsによって開発されています。
このshared security(シェアードセキュリティ)サービスにより、Cosmosチェーンは互いにセキュリティを効果的に貸し出し、新興チェーンはそのエコシステムを起動させ、大規模チェーンのバリデータやデリゲータはそのサービスに対する報酬を得ることができるようになるのです。
さらに、Interchain Security(インターチェーンセキュリティ)は、バリデータとデリゲータがATOMをステーキングするだけで、複数のチェーンでそれぞれのトークンで報酬を得ることができるようになります。
新興チェーンは、堅牢なバリデータセキュリティセットの恩恵を受け、初期段階でCosmosコミュニティメンバーの前にそのトークンを出すことができます。
同時に、Cosmos Hubのstakers(ステイカー)は、革新的なプロジェクトにいち早くアクセスし、ATOMの実用性を高めることができます。
Interchain Accounts
Interchain Accounts(インターチェーンアカウント)は、2022年第1四半期に予定されているTheta(シータ)アップグレード後に、Cosmos Hubに実装される予定です。
Interchain Accounts(インターチェーンアカウント)は、Cosmosのエコシステムにいくつかの大きな影響を及ぼします。
そのひとつが、Cosmos DeFiを次のレベルへと押し上げる効力です。
これは、Interchain Accounts(インターチェーンアカウント)によって、エコシステムチェーンが他のエコシステムチェーンのアカウントを安全にコントロールすることができるようになるためです。
トークンを単にあるチェーンから別のチェーンに転送するだけはなく、他のエコシステムチェーンのアカウントを安全に制御することができるためです。
ちょっとイーサリアムを考えてみましょう。
複雑な金融商品は、スマートコントラクトのセット上でpermissionlessly(パーミッションレスに)取引され、それぞれがビジネスプロセス全体の一部を処理します。
Cosmosのエコシステムでは、各スマートコントラクト(アプリケーション)は基本的にブロックチェーンそのものであるため、スマートコントラクトは互いに即時アクセスすることができません。
IBCでは、ネットワーク間でトークンを移動させることはできますが、イーサリアム上のスマートコントラクトのように、他のチェーンでアクションを起こす機能はありません。
Interchain Accounts(インターチェーンアカウント)は、スマートコントラクトが必要とするコンポーザビリティと相互運用性を提供し、アプリケーション固有のブロックチェーン内でDeFi爆発を起こすことで、そのすべてを変えます
Interchain Accounts(インターチェーンアカウント)は、新しいチェーンが既存のアカウントの機能や性能を活用できるため、開発者にとってもIBCとの接続が容易になります。
これらの機能をゼロから作り直す必要はありません。
Interchain Accounts(インターチェーンアカウント)がどのようにすべてを変えるのか、詳しくはこちらをご覧ください。
Liquid Staking
Cosmosの中心的貢献者でありIqulsionの創設者であるZaki Manian氏が率いるLiquid Staking(リキッドステーキング)の最初のバージョンは、早ければ2022年2月に登場し、Cosmos SDKに直接統合される予定です。
Liquid Staking(流動性ステーキング)のバージョン1では、ATOM保有者がトランザクションを送信し、bondedされたATOM(≒ステーキング中のATOM)を流動性プールやその他用途に活用できるよう即座に変換できるようになります。
これにより、DeFiの可能性が広がり、ATOM保有者はステーキング報酬を得ながらATOMを最大限に活用することができるようになります。
Liquid Staking(流動性ステーキング) の バージョン1 では、the fluid tokens(流動トークン)はデリゲーターが ATOM をステイクするバリデーターに帰属されます。
しかし、このデザインは制約が多く、必ずしも理想的ではありません。
そのため、Liquid Staking(流動性ステーキング) の バージョン2が迅速に追随しているのです。
Lidoを支えるP2Pチームは、Liquid Staking(流動性ステーキング)をCosmos Hubの重要な機能の1つとするためのProposal(プロポーザル=提案)を起案しました。
Cosmosの最も古いバリデーターの1つとして、P2Pはイーサリアム2.0のためのLiquid Staking(流動性ステーキング)ソリューションを開発し、人々がイーサをステークしながら同時に使用することを可能にしました。
Lidoは現在、ETH 2.0にステークされている全ETHの90%を保有しており、Terraの人気Liquid Staking(流動性ステーキング)実装bLUNAも稼働させています。
Liquid Staking(流動性ステーキング)はスマートコントラクトなしでは実現が難しいので、Cosmos HubチームはCosmWasmをCosmos Hubに追加し、Lidoがこの機能に必要なスマートコントラクトを作成できるようにする予定です。
将来的には、Cosmos HubにCosmWasmを搭載することで、任意のチェーンに接続し、IBC通信を通じてそのステーキング手順を管理することができるようになるかもしれません。
これにより、Cosmos Hubはインターチェーンの中核に直接位置し、Cosmosエコシステムの真の港町として、その価値と強みに沿った使い勝手を向上させることができるでしょう。
詳細については、このページをご覧ください。
IBC接続チェーンは200チェーンへ
2021年はIBCがメジャーなCosmosチェーンと相互接続し経済圏を形成した年でした。
– 来年もまだまだ続きます。
2022年には、Cosmosの強力な技術スタックと、IBCの相互運用性が組み込まれたStarportのような開発者に優しいブロックチェーンフレームワークのおかげで、IBCの採用が本格的に進むことになります。
TendermintのCEOであるPeng Zhong氏がCryptoSlateに語ったように、「来年の今頃には、IBCを介して200チェーンが簡単に接続され、長期的には100万チェーンにさえなると思います」。
また、IBCを利用してCosmosと各エコシステムの橋渡しをした様々なチームの完成した仕事も見ることができます。
そのチームのプロダクトで
2022年には、Bitcoin、Celo、Polkadot、Kusama、Harmony、Hyperledger Besu、Hyperledger Fabric、さらにその他への安全な接続が実現することになります。
これらの主要なブロックチェーン間の資産の自由な流れは、スケーラビリティと成長のための広大な機会を創出し、最終的には、低い手数料、高いスループット、および膨大な製品の選択肢を持つ水平なDeFiの競争の場となるのです
Cosmos DeFi の拡大
IBC接続の流動性が高まり、ブロックチェーンアカウント間の複雑な取引を管理できるようになり、主要なエコシステムへの橋渡しが流動性を開放することで、Cosmos DeFiは爆発的に普及することでしょう。
2022年春にはEmerisの一般公開が控えており、ポートフォリオの可視化のための高度な機能を含む多くの待望の機能が提供されます。
デジタルアセットマネジメント、サービスディスカバリー また、報酬生成を最大化するための報酬の自動配合によるステーキング、クロスチェーンDEXアグリゲーション、エアドロップ・トラッカー、Emerisのwebダッシュボードとシームレスに動作するブラウザ機能拡張なども提供される予定です。
また、Osmosisは今後数ヶ月の間に、Superfluid Staking(スーパー流動性ステーキング)と呼ばれるLiquid Staking(流動性ステーキング)をリリースする予定です。
これにより、OSMO保有者は、トークンをステーキングと流動性提供に同時に使用することができ、また、プロトコルのガバナンスが流動性提供者の利益に貢献することが保証されます。
この新機能の詳細については、以下のカリスマ的なオスモシス共同設立者Sunny AggarwalのCosmoverseプレゼンテーションを見てください。
DeFiで大きく前進中で、EthereumをCosmosに導入しようと努力しているもう1つのチームがEvmos、「EVM-on-Cosmos」(以前はEthermintとして知られていた)です。
EvmosはCosmosのEVMハブとなることを目指し、EVMスマートコントラクトのCosmosエコシステム内での展開と通信を容易にします。
すでにインセンティブ付きのテストネットで、2022年1月にEVMの互換性がCosmosエコシステムに登場する予定です。
Evmosは、Ethereumメインネットと相互運用可能なアプリケーション非依存型チェーンとして提供されます。
EVM互換環境、IBCを介した他のBFTチェーン、他のEVM CosmosチェーンのEVMハブとして機能する予定です。
また、2022年には、クロスチェーンの相互作用のためのインフラを提供する最初のDeFiプロトコルであるUmeeにも要注目です。
Umeeは2021年にTendermint、Coinbase Ventures、ConsenSysのJo Lubinなど業界の大物をバックに630万ドルのシード資金を調達しています。
Umeeを通して、ユーザーは貸し借りのポジションを作成し、利回りの機会を発見し、信頼できるクロスチェーンでDeFiアプリケーションを探索することができます。来年、Cosmos DeFiがどれだけ早く本領を発揮するのか、見守るのが楽しみですね。
CosmosにおけるNFT領域の圧倒的な成長
2021年は、急成長するDeFi分野に加え、デジタルアート作品、デジタルコレクティブル、不変のデジタル所有権証明への関心が爆発し、NFTの年でもありました。このようにメインストリームの間でNFTに対する意欲が高まっていることから、2022年もNFTの人気は続くと思われます。
Cosmosのエコシステムでは、今年に入ってから多くのプロジェクトが立ち上げのための基礎固めを行っています。
NFTのためのパブリックプロトコルであるStargazeを含む。
ブランドやクリエイターがNFTを使って製品を作るための相互運用システム「Pylons」。
初の音楽NFTマーケットプレイス「BitSong」。
NFTを利用した分散型メディアおよびネットワークレイヤー「Omniflix」。
およびSecret Network社のStashhは、Secret NFTをサポートするフルスタックプラットフォームおよびマーケットプレイスです。
また、Evmosは間もなくNFTのデプロイメントをサポートし、人々が簡単にNFTを取引・デプロイできるマーケットプレイスをホストする予定です。
Strangeclanは、2021年に同社のアドベンチャーゲームで初めて、クエストを含むバーチャルタウンをリリースしました。
NFTのキャラクターや商品、トークンを鋳造することができます。
このゲームは段階的に開発される予定で、2022年の今後のエキサイティングなリリースを楽しみにしています。
コスモスに長年貢献してきたIRISnetも、2021年にNFTの分野で先駆的な仕事を成し遂げました。
許可型チェーンとパブリックチェーン領域の両方で、4つのブロックチェーンにまたがる初のチェーン間NFT転送に成功しました。BSNのWenChang ChainとIRITA Hub、IRIS Hub(別名IRISnet)、そしてEthereumです。
現在、2つの高級中国絵画のデジタルツインであるNFTがOpenSea EASTIPで世界市場向けに提供されています。
私たちは、今後数ヶ月間、これらすべての素晴らしいNFTプロジェクトの進捗を追いかけ、その都度、皆様にご報告していくことを楽しみにしています。
2022年のけっこう重要なエアドップ
開発者コミュニティは引続き拡大中
2022年末までにIBCと接続する200のブロックチェーンという目標達成を支援するのは、Cosmos SDKを使用して主権とセキュリティのあるブロックチェーン上であらゆる暗号アプリケーションを構築、起動、維持するオールインワンプラットフォームであるStarportです。
Starportは、業界最高の開発者体験を提供し、開発者がマルチチェーンの未来のためにブロックチェーンを構築することを支援します。
Starportの開発者コミュニティは急速に拡大しており、これまでに422のブロックチェーンが作成され、GitHubにプッシュされています。
今年だけでも、SifChain、Juno、Osmosis、Umee、Lum Networkなど、Cosmosの最も興味深いプロジェクトがStarportを使って作成されました。わずか2ヶ月の間に、Starport Discordグループは約600人の開発者が参加するアクティブなコミュニティに成長しました。
新しく立ち上げたStarport Twitterのフォロワーは5,000人に達し、1日に約200人の開発者が手順やチュートリアルのためにStarportのドキュメントを訪れています – これらはすべて、2022年に指数関数的に成長していくでしょう。
HackAtom VIでは、Starportの課題に対して非常に質の高い応募があり、これらのアイデアを製品に反映させるとともに、より多くのオープンソース貢献者と協力できることを楽しみにしています。
Starportは2022年に、開発者がブロックチェーンを立ち上げる際に最大の成功を収めることができるよう、いくつかの重要な新製品と機能を追加する予定です。
これについては、今後数カ月でより多くの情報をお届けできるでしょう。
最後に ---And Finally---
私たちのエコシステムにとって、今年もCosmic(コズミック)な年になることを期待していますし、その一員である皆さんに感謝しています。
2022年をこれまでで最大の年にしましょう!